旧社名である「有限会社共栄精工」は1982年の創業。
ベアリング加工の二次下請けとして30年、事業展開してきました。しかし、2008年秋に起こったリーマン・ショックにより受託量が大幅に落ち込み売上が半減。先代社長の畑は「二次下請けの加工業では将来的にも厳しい」と、ベアリング加工業以外のものを模索した結果、「たいやき屋」に転身したのです。
それがなぜ「たいやき」だったのか …。
「従業員は皆家族。ひとりも解雇したくない」との強い思があり、専門性の高いエンジニアからパート職員まで、全ての従業員が働ける新たな職場とは…と、何とか考えた末、「たいやき屋」にたどり着きました。 しかし、最も深い動機は…先代社長の畑の大好物であったこと。
元来、伊勢市はたいやき専門店が多い土地柄で、たいやきは伊勢市民にとって最も身近なおやつのひとつでした。畑は、自身が愛するたいやきで、従業員を救おうと決意したのです。
転身を決めてからは、「たいやきの研究」に没頭しました。
40名の従業員にはベアリングからの撤退、たいやき専門店を目指す旨を伝えました。一方で受注先の親会社に対しても完全撤退を取り付けることができ、親会社はこの計画に理解を示し、半年かけて設備の移行と同社に入社を希望するすべての社員を採用してくれるに至りました。
たいやきの研究は実を結び、独特のもっちり感と皮とあんのバランスは絶妙の味をつくりだしました。理想の餡を研究してくださった製餡業者様と、三重県産小麦「あやひかり」との出会いはまさに奇跡。 開店当初の商品は粒あん入りの一種のみでしたが、近隣を含めた人口15万人の町でじわじわと人気を博しました。
これからも「たいやきわらしべ」は、事業を通じて、店よし・客よし・社会よしの「三方よし」を実践していきます。